よく見る「トリグリセリド」っていったい何者?中性脂肪との違いは?

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血液検査のTGって何のこと?

血液検査で見かける「中性脂肪(TG)」の「TG」とは、トリグリセリドのことです。しかし名前は聞いたことがあっても、具体的にどのようなものなのかわからない人が多いと思います。

今回はトリグリセリドとはどういったものなのか、中性脂肪とどのような関係があるのかを詳しくリサーチしました。高いときや低いときの違いなどを知って、日々の健康に役立ててください。

トリグリセリドを略してTGとは

まずはトリグリセリド、略してTGの基本的な情報を確認しましょう。特に中性脂肪とはどのような違いがあるのか、どのように作られるのかに注目です。

中性脂肪と同義

トリグリセリドとは中性脂肪の主成分の一つで、内容は中性脂肪とほとんど同じです。

中性脂肪を具体的に分類すると、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドの3つに分けられます。血液中に含まれる中性脂肪はほぼトリグリセリドです。そのため、中性脂肪とトリグリセリドを同義とする場合が多いのです。

正式名称は「トリアシルグリセロール」ですが、この名前で呼ぶ時は単に油脂のことを指す場合が多く、若干とらえられ方が異なります。

私たち人間や動物の体内にある脂肪の8~9割がトリグリセリドなので、体の一部ともいえる大切な物質です。

検査項目「中性脂肪」との違い

中性脂肪とトリグリセリドの違いは、血液検査の内容から知ることができます。

血液検査で計る中性脂肪とは、いったん肝臓に取り込まれた脂肪が再び血液中に分泌された中性脂肪のことです。血液検査ではこの中性脂肪のみを計測しているため、中性脂肪に含まれたTGではありません。

中性脂肪とトリグリセリドはほぼ同義ではありますが、中性脂肪の検査結果がそのままトリグリセリドというわけではないので、覚えておきましょう。

食事から摂取or体内で生産

トリグリセリドは食事から直接摂取するほか、肝臓や脂肪組織で作られます。作られた後は脂肪細胞によって体の中に蓄えられます。

食事では、特に脂質や炭水化物などにトリグリセリドが含まれているため、これらを多く摂取するとその分たくさんのトリグリセリドを体内に取り込むことになります。

また、アルコールを摂取すると、アルコールの分解を促す肝臓の働きを活発にするため、トリグリセリドが多く作られます。しかしあまり肝臓が働きすぎてトリグリセリドが多く作られると、分解が追いつかなくなり肝臓に脂肪がたまり脂肪肝になることがあるので注意が必要です。

さらに悪化すると肝細胞が繊維化してしまい、肝硬変を引き起こすこともあります。

トリグリセリドの化学構造

トリグリセリドは、グリセロール(またはグリセリン)に3本の脂肪酸がそれぞれエステル結合することで成り立っています。

グリセロールとはアルコールの一種で、甘味料、保存料、安定剤、保湿剤などに使われます。トリグリセリドに豊富に含まれているため、動物の油脂から作ることが可能です。

エステル結合とは、酸とアルコールの間で水が失われることによって行われる結合のことです。

つまりトリグリセリドが発生するには、脂肪酸とグリセロール必要不可欠ということになります。どちらも存在する人間や動物の体では、日常的にトリグリセリドが作られているということです。

エネルギー供給時に代謝・分解

トリグリセリドをグリセロールと脂肪酸に分解することを脂肪分解といいます。分解の方法は水が作用することで起こる加水分解で、リパーゼという酵素の働きにより発生します。

この加水分解はエネルギー不足の場合に起こり、脂肪酸が分解する際のエネルギー源となります。

化学式で表すと、

【脂肪(第1分子)】

CH2O・OC・R1

CHO・OC・R2 

CH2O・OC・R3

【水(3分子)】

3H2O

【グリセロール(第1分子)】

CH2OH


CHOH


CH2OH

【脂肪酸(3分子)】

R1COOH


R2COOH


R3COOH

となります。

カルナ博士
トリグリセリドを知ることは、同時に中性脂肪について知ることにもつながるぞい。基本的な内容を確認して、2つの理解をより深めるのじゃ。

トリグリセリドの基準値と異常値

次に、トリグリセリドの基準値と異常値です。基準値より高い場合は、どのような原因と病気が考えられるのかも併せて確認してください。

基準値

トリグリセリドの基準値は30~149mg/dlです。要経過観察の数値は150~249mg/dlで、250mg/dl以上の場合は精密検査・要治療となります。

トリグリセリドの数値は中性脂肪の数値としても見られるため、数値が高すぎる、または低すぎると脂質異常症と診断されます。中年以上の男性に多いといわれていて、高い人のほとんどが肥満体型という共通点があります。

要経過観察と判定された時点で数値を低くする必要があるので、対策をとっていきましょう。

基準値より高値の原因・病気リスク

基準値より高値の場合は、動脈硬化や急性膵炎、脂肪肝といった病気のリスクがあります。原因は遺伝によるものとそうでないものに分かれるようです。

原因

親などの家族に数値が高い人がいる場合は、遺伝(原発性)で高くなっている可能性があります。遺伝性のものはなかなか気づきにくく、定期的に血液検査を受けなければ早期発見に至りません。

遺伝で数値が高い人は子どものころから高コレステロールと診断されることが多いため「子どもだから大丈夫」と思わず、早いうちから意識して数値を確認しておくことが大切です。

発見が遅れるとそのぶん病気が進行した状態で見つかることもあるため、小さなお子さんがいる家庭でもトリグリセリドの数値に気をつけてください。

遺伝でなければ、他の病気による二次性の原因が考えられます。たとえば、過去に糖尿病や脂肪肝、痛風などを発症したことのある人は数値が高くなる傾向にあります。

また、病気の治療にステロイドなどを服用しているとトリグリセリドが高くなることがあり、こちらも二次性の原因といえます。

さらに生活習慣の乱れも原因となることがあります。脂質や糖質が多い食生活や運動不足、疲れやストレスが続くといったことも数値が高くなることにつながるため、健康的な生活が求められます。

病気リスク

病気の名称症状治療法
動脈硬化
  • 心臓への負担
  • 臓器や組織の壊死
  • 血管が破れやすくなる
  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法
急性膵炎
  • 腹部の激しい痛み
  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 発熱
  • 絶飲絶食による膵臓の安静
  • 点滴治療
  • 鎮痛薬での腹痛緩和
脂肪肝自覚症状はほとんどなし
  • 食事療法
  • 運動療法

トリグリセリドが高いと、主に上記3つの病気にかかりやすいといわれています。

特に動脈硬化と脂肪肝は自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しい病気です。普段から食事バランスを整え、適度に運動しておくと予防できます。

急性膵炎は膵臓を安静にさせる必要があるので、治療が始まると絶飲絶食をすることになります。普段から暴飲暴食をしている人は、膵臓に負担をかけないようにしましょう。

また、トリグリセリドだけでなくコレステロール値も高いと、糖尿病などの生活習慣病のリスクが上がります。反対にコレステロール値が低いと、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のリスクが上がります。

まずは基準値以内に収めることを目指し、健康を意識した生活を心がけましょう。

基準値より低い場合の原因・病気リスク

トリグリセリドは低すぎる場合も病気のリスクが上がります。どのような病気があるのでしょうか。

原因

数値が低い人はダイエット中の女性などによく見られます。無理なダイエットをすると栄養不足に陥り、体全体のエネルギーが減るためトリグリセリドも減少してしまいます。

健康的なダイエットの基本は、バランスの良い食事と適度な運動です。不健康にならないように行ってください。

他に、極端に食事を減らしたり偏食をしたりといったことで栄養障害になると、数値が減ることがあります。栄養はバランスよくとることが大切です。何か一つのものを食べ続ける、エネルギーになるものを摂らないといったことはやめましょう。

また、もともとの体質で数値が低い場合もあります。意識的にエネルギーを摂る必要がありますが、自分で改善できなかった場合は病院でお医者さんに相談することをおすすめします。

病気リスク

病気の名称症状治療法
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 動悸、息切れ
  • 指先や手足、体の震え
  • 暑がりになる、汗をたくさんかく
  • よく食べるのに太らない、もしくはやせる
  • 皮膚のかゆみ
  • 薬物療法
  • アイソトープ治療
  • 手術療法
低栄養
  • ボーっとする
  • 集中力が続かない
  • 体重減少
  • 病気にかかりやすい
  • 筋肉や筋力の低下
  • 食事療法
  • 運動療法
  • カウンセリング

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、喉のあたりにある甲状腺から甲状腺ホルモンが出すぎることによって体の代謝が高くなりすぎる病気です。はっきりとした原因は不明ですが、トリグリセリドや中性脂肪が低すぎると、体内のホルモンのバランスが乱れるため発症しやすいといわれています。

低栄養は、文字通り摂取する栄養が少なすぎることで発症します。小食の人やストレスで食べられなくなる人など、原因はそれぞれ異なり、食事や運動だけでなくカウンセリングで治療する場合があります。

トリグリセリドは食事改善で基準値に近づけることができるので、普段の食事や生活を見直すと良いでしょう。

12-16時間絶食後に検査

トリグリセリドを計るときは、検査前の12~16時間絶食します。食事で摂取される脂肪のほとんどが中性脂肪で、トリグリセリドの数値に直接影響するからです。

食事をすると数値は増加し、4~6時間後にピークを迎えます。食事した後の検査だと正しい数値がわからないため、より正確に計るために最低12時間の絶食が必要とされています。

また、アルコールを飲むことも中性脂肪値を上げるので注意しましょう。検査前夜は夕食を早めに済ませ、アルコールも飲まず、次の日の朝食を抜いた状態で検査するのが最も正確な数値を出しやすいといわれています。

ひばり
12時間も何も食べないのは少し大変ですが、正確に検査するためにはしかたないことです。
血液検査がある前日は食事内容に気をつけましょう。

知っておきたいトリグリセリド豆知識

トリグリセリドについてさらに詳しくなれる豆知識を紹介します。

トリグリセリドとトリグリセライドは違う?

読み方の違いというだけなので、どちらも同じです。
トリグリセリドはローマ字表記すると「Triglyceride」となるのですが、最後の「i」を「イ」と読むか「アイ」と読むかで変わります。
ちなみにトリアシルグリセロールも同じです。正式名称がこちらで、長いので略してトリグリセリドと呼ばれています。
さらに略称としてはTG、TAGといったものもあります。検査結果などではイニシャル表記が一般的です。

コレステロールとは違うもの?

体内での働きに関して違いがあります。
トリグリセリドは通常体を動かすためのエネルギーとして消費され、余ったら肝臓や脂肪組織に蓄積されます。
一方、コレステロールは細胞を守る細胞膜を作る、肝臓の働きを助ける胆汁酸の原料になるといった働きがあります。
体内の脂質としては同じですが、具体的な働きははっきりと違いがあります。

高い中性脂肪を下げるなら生活改善!

トリグリセリドや中性脂肪を下げるには、生活習慣を見直す必要があります。食事や運動の面でどのような工夫ができるのか、具体的に解説していきます。

食事はゆっくり&腹八分目

中性脂肪の高い人に多いのが肥満です。肥満を改善するにはまず食事内容を見直し、ゆっくりよく噛んで腹八分目にすることが大切です。

食事は野菜を中心にヘルシーなものを食べるよう心がけてください。和食は野菜が多く脂っこいものも少ないので、中性脂肪を下げるのにピッタリです。

よく噛んで食べると脳の満腹中枢が刺激され、少量でも満足することができます。食事の時間を長くとることにもなるので早食いなどを防ぐことができ、おすすめです。

また、お腹いっぱい食べず腹八分目におさえるよう心がけましょう。満腹になると胃や膵臓に負担がかかり、病気のリスクを上げてしまいます。

空腹時は中性脂肪が分解されているので、分解を邪魔しないようにお腹が空いてから次の食事を摂るようにしてください。

間食はできるだけ控えましょう。甘いものや脂っこいお菓子が好きな人は要注意です。食べる時は小魚やおからクッキーなどカロリーが低いものにすると、中性脂肪もそれほど上がらないでしょう。

食事改善が難しいならトクホサプリ

食事改善が難しい人は、中性脂肪を下げる効果があるトクホ(特定保健用食品)を効果的に摂りましょう。以下2つはおすすめ商品です。

大塚製薬 賢者の食卓 ダブルサポート

価格内容量成分飲み方
5,400円(税別)6g×30包×3箱(約30日分)難消化性デキストリン1日3回、1食につき1包をお茶や水などに溶かして飲む

賢者の食卓 ダブルサポートの最大の特徴は、好きな飲み物に溶かして飲むだけという手軽さです。飲むタイミングも1日3回の食事の時でいいため、忘れにくいのでしっかり習慣づけることができます。

有効成分は、トウモロコシが原料の難消化性デキストリンです。食後の血糖値と中性脂肪の上昇を抑え、脂肪の排せつ量を通常の2倍にするという効果があります。

お医者さんからも高い評価を得ていて、病院ですすめられるという人もいるそうです。価格は少し高めですが、高い効果が期待できると思うので検討してはいかがでしょうか。

賢者の食卓 ダブルサポート

大正製薬 ヘルスマネージ大麦若葉青汁

価格内容量成分飲み方
3,800円(税抜)3g×30袋(30杯分)キトサン1袋(3g)を水またはお湯に溶かして飲む
好きなタイミングでOK

大麦若葉青汁はコレステロールを下げてくれるトクホ商品ですが、コレステロールと中性脂肪はそれぞれ体内の脂質の一つで性質が似ているため、同時に中性脂肪を下げる働きも期待できます。両方高いという人は同時に下げることができるでしょう。

有効成分はキトサンで、コレステロールの再吸収を抑え便として外に出してくれます。また、キトサンの影響で血液中のコレステロールが通常より多く使われるため、結果的にコレステロール値が低くなります。

抹茶が配合されているためとても飲みやすい青汁になっています。毎日おいしく続けたい人におすすめです。

ヘルスマネージ大麦若葉青汁

運動で余ったエネルギーを使おう

中性脂肪は余ると体内で蓄積されてしまうので、運動してエネルギーを消費しましょう。

脂肪燃焼に効果があるのは、有酸素運動です。ジョギングやウォーキング、水泳、エアロビクスなどが効果的です。

日ごろ運動不足の人は無理をせず、距離が短めのウォーキングから始めることをおすすめします。

有酸素運動は少し息が上がる程度の動きを30分以上継続する運動なので、階段などの段差があればそれを上り下りするだけで成立します。外で運動する時間がないという人はこのような運動を家の中ですると良いでしょう。

カルナ博士
ちょっとした生活習慣の改善で、中性脂肪やトリグリセリドが高くなるのを抑えることができるぞい。
どれも簡単なので、明日からでも始められそうじゃな。善は急げじゃ!

健康管理は数値の把握から

今まで中性脂肪のトリグリセリド値を気にしていなかった人は、健康のために数値を把握するところから始めてください。基準値がわかればその中でおさめようと意識することができ、生活にも良い変化が生まれます。

日常ではバランスの良い食事や脂肪燃焼に効果的な運動を取り入れて、中性脂肪とトリグリセリドを正常値にし、健康体を目指しましょう。

参照サイト

兵庫県立大学理学部・大学院ー脂肪の代謝とその調節

日本健康増進財団ー健康診断の手引き

セルフドクターネットーQ03中性脂肪とコレステロールってどう違うの?